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株式会社江口高周波

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第4回テーマ

『誘導加熱の計算』

(1)等価回路
  対象とする加熱コイルと被加熱金属のモデルを図1に示します。


図1.加熱コイルと被加熱金属のモデル
図1の記号は、それぞれ下記を意味します。
Ic コイル電流(A)
Iw 誘導電流(A)
dw 被加熱金属の外径(mm)
dc 加熱コイルの内径(mm)
Lc 加熱コイルの長さ(mm)
※被加熱金属は、加熱コイルよりも長いものと仮定します。
Ag 加熱コイル内径と被加熱金属外径との間の空間の面積(mm2
Φw 加熱コイルの作る磁束のうち、被加熱金属に作用する磁束
Φg 加熱コイルの作る磁束のうち、被加熱金属に作用しないギャップ中の磁束
δw 被加熱金属の電流浸透深さ(mm)
δc 加熱コイルの電流浸透深さ(mm)
また、図1に表現されていないもので、次の記号を計算式で使用します。
f 交流電源の周波数(Hz)
μw 被加熱金属の比透磁率(−)
P,Q 磁束係数(−)
ρw 被加熱金属固有抵抗(μΩ・cm)
ρc 加熱コイル材料の固有抵抗(μΩ・cm)
Kr 加熱コイル補正係数(−)
Nc 加熱コイルのターン数(−)
図1の加熱コイルと被加熱金属のモデルは、等価回路で表現すると、図2(a)の回路となります。
図2(a)の等価回路を合成すると、図2(b)の最終等価回路となります。

誘導加熱も金属のジュール発熱ですから、図2(b)の等価回路から被加熱金属の発熱量Pw(W)は、
式(1)となります。
    Pw=Ic2×Rw'(W)・・・・式(1)
    ここに、 Ic コイル電流(A)
Rw' ワーク等価抵抗(Ω)(図2(b)参照)

図2(a).誘導加熱の等価回路
図2(b).合成後の等価回路
図2の回路要素記号は、それぞれ下記を意味します。
Rw ワーク抵抗(Ω)(被加熱物をワーク(Work)と呼びます)
Rc コイル抵抗(Ω)
Xw ワークリアクタンス(Ω)
Xc コイルリアクタンス(Ω)
Xg ギャップリアクタンス(Ω)
Xe 外部磁路リアクタンス(Ω)
Rw' ワーク等価抵抗(Ω)
X0 全リアクタンス(Ω)
Ic コイル電流(A)
(2)等価回路インピーダンス計算
  @ワークの電流浸透深さの算出
    ワークに流れる誘導電流(Iw)は、図1に図示しますように、外周表面に集中して流れます。
    この誘導電流の流れる深さを電流浸透深さと呼び、交流電源の周波数と、ワークの物性値
    (固有抵抗と比透磁率)に依存します。
    ここでは、ワークの電流浸透深さをδw(mm)で表現し、式(2)で求めます。
   (mm)・・・・式(2)
  A磁束係数の算出
    ワークの形状・寸法と電流浸透深さとの関係で、加熱されやすいか、加熱されにくいかが変化します。
    これを数値的に表現するのが磁束係数P、Qです。
    通常は、次の三種類のワーク形状・寸法に分けて、磁束係数P、Qを求めます。
表1.磁束係数の区分
ワーク形状 ワークの比透磁率 電流浸透深さと寸法との関係 磁束係数P,Q
中実円柱 規定せず 規定せず 図3による
円筒 常磁性材(μw=1) δw > 3×tw(tw:ワーク肉厚) 図4による
δw < 3×tw 図5(a),図5(b)による

図3.中実円柱の磁束係数P,Q
図4.常磁性材円柱(δw > 3×tw)のP,Q
図5(a).常磁性材円柱(δw<3×tw)のP
図5(b).常磁性材円柱(δw<3×tw)のQ
(横軸は、図5(a)と同様)
  B等価回路インピーダンス
    図2(a)、図2(b)の等価回路の各インピーダンスの値は、下記により求めます。
    ただし、Nc:コイルのターン数(−)
1.ワーク抵抗
   [Ω/T2
2.ワークリアクタンス
   [Ω/T2
3.コイルリアクタンス及び抵抗
   [Ω/T2
4.エアギャップリアクタンス
   [Ω/T2
5.外部磁束によるリアクタンス
   [Ω/T2
6.直列リアクタンス合計
   [Ω/T2
7.ワーク等価抵抗
   [Ω/T2
8.全リアクタンス
   [Ω/T2
9.全抵抗
   [Ω/T2
10.コイル効率
   [%]
11.インピーダンス
   [Ω/T2
12.コイル力率
   [-]
13.コイル印加電力
   [kW]
14.コイル皮相電力
   [kVA]
15.コイル電圧
   [V/T]
16.コイルアンペアターン
   [AT]

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